●Q1. 性同一性障害は病気ですか?


Sexが男(女)ならGenderも男(女)である
これが“性に同一性がある”という意味であり、普段我々の意識に昇ることがないほどの常識です。しかし、この常識は本当に正しいのでしょうか?
尚、ここで云うSexは肉体的な性、性器や性染色体で規定される性を、Genderは精神的な性、自己が認知する処の性を意味します。
本来はGender Identityの二語を持って自己が認知するところの性を意味するのですが、ここでは便宜上、Genderの一語に簡略化させていただきます。

Sexが男(女)でありながらGenderが女(男)である、つまりSexとGenderが不一致な状態を性同一性障害(Gender Identity Disorder:GID)と云います。

SexとGenderの不一致に悩む人々が一定数存在することは確かな事実ですが、冒頭の常識が間違っていると考えれば、性同一性障害は病気ではなく、単なる社会の偏見ということになります。

Sexが男(女)でもGenderが女(男)のことがある
つまり“性に同一性がない人もいる”が正しいのではないでしょうか?

Gender Identity Disorder(GID)は伝統的に性同一性障害と和訳されてきました。
Gender IdentityをGender とIdentityの二語に分離し、Identity を同一性と訳した結果この名称になったと思われます。
Identityは英和辞典を見ても巧い和訳がなく、単にアイデンティティとカタカナ表記で用いられる方がしっくりきます。
Gender Identityはこの二語でもって、Sexの対義語の意味を成すのであり、自認性とでも訳されるべきだったと思います。
アメリカ精神医学会の意図する処のGIDは「自認性の故障」だったのに、日本の精神医学会は「性の同一性に障害あり」と理解したのでしょう。大差はありませんが、ニュアンスに微妙な違いがあるように感じます。
先に“性に同一性がある” “性に同一性がない”という表現を使いましたが、上記の理由で厳密には正しい使い方ではありません。

Gender Identity Disorderが性同一性障害と和訳されている関係上、その病態をわかりやすく説明するために和訳中にある“同一性”という表現を用いて説明しました。

性同一性障害と混同されやすい病気に半陰陽(Intersex)があります。
詳しくはインターネットで調べてほしいのですが、性器の形態が男か女か紛らわしい状態で生まれてくる病気を云います。
このうち真性半陰陽というのは、ペニスらしき突起(巨大クリトリス)と、膣らしき窪みの両方を持ち合わせて生まれてきた状態です(両性具有とも云われます)。
とりあえず2週間以内に出生届を出して、どちらかの性別でこの子を戸籍に登録しなければなりません。どちらの性別で戸籍に登録するかは、両親が主治医と相談して決めることになりますが、実際は主治医が今後の形成手術によって性器をどちらの性に近付けやすいかという観点から決めることが多いと思われます。残念ながら生まれたばかりのこの子には自らのGenderを主張することができません。
不幸にもこの子が将来的に、両親の期待に反したGenderを有することもあります。


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