一昔前までは、鼻の手術といえば、なんでもシリコン製プロテーゼを挿入するだけで済ませていました。鼻尖部を高く細くするために、角が分厚いL型プロテーゼを無理やり挿入して、かえって鼻尖が丸く大きくなってしまったとか、降鼻術の説明で述べたような鼻尖トラブルを招いたとかいうことが多々見受けられました。今ではL型プロテーゼのみで団子鼻を矯正するのは無意味だと考えられています。団子鼻の原因としては、皮膚自体が厚い(皮膚と鼻翼軟骨の間の軟部組織が多い)ことと鼻翼軟骨の形態が丸く大きいことがあげられます。したがって手術では以下の3行程が必要になります。
[1]軟部組織の除去[2]鼻翼軟骨の上部 1/2〜1/3の切除[3]左右の鼻翼軟骨同士を中央に寄せるように縫合。これらの操作を鼻の穴からのみで出来る(クローズ法)と申し訳ないのですが、実際にはかなり難しく、やってもほとんど効果がでないというのが実情です。そこで当院では鼻柱部に切開を入れ、鼻の皮膚をめくり上げて、完全に鼻翼軟骨を露出させた上で行います(オープン法)。この際、切除した鼻翼軟骨を鼻尖部に移植すると効果的です。