二重瞼(ふたえまぶた)のしくみを知るためには、まず瞼の構造を知る必要性がありますので、各論に入る前に少し瞼の解剖を説明します。各論では、ここで説明した解剖学名を使って説明しますので、聞きなれない名称ばかりですが、イラストと対比しながら読んで下さい。瞼は右記のイラストのような構造になっています。目を開く行為は主に眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉の働きで行われます。補助的に働くミュラー筋という筋肉もありますが、イラストでは省略してあります。眼瞼挙筋は目玉の奥の骨からはじまり(起始)、目玉の上を通って、最後は挙筋腱膜(きょきんけんまく)という薄い膜になって、瞼板(けんばん)の前面に付着して終わります(停止)。ふくらはぎの筋肉が最後はアキレス腱になって終わるのと同じかんじです。
さて目が開くということは、瞼板が眼腱挙筋に引き上げられることに他なりません。生まれつき二重瞼の人は、瞼の皮膚と瞼板が癒着している(皮膚と瞼板の間に、挙筋腱膜の繊維で構成される索状組織があり、これが両者を結んでいる)ため、目を開くときに皮膚が瞼板と一緒に持ち上げられて、皮膚に折れ込みができるため、二重瞼になるのです。眼瞼挙筋が瞼板を引き上げる力を、糸を介して皮膚に伝えるのが埋没法であり、皮膚と挙筋腱膜(瞼板)の癒着瘢痕によって皮膚に伝えるのが切開法ということになります。またいわゆる腫れぼったい目というのは、眼窩脂肪(がんかしぼう)が多く、眼窩隔膜(がんかかくまく)が、瞼板の前に押し出されている状態です。もちろん皮膚自体が厚い(瞼板前脂肪が多い)という場合もあります。
では以下各論に入ります。